知らなかったでは許されない法律

自転車通行可でない歩道を一般の成人が自転車で走行すると犯罪になり、検挙されると、前科者になる。
道路交通法なんて知らなかった。自動車の免許も持っていないので、関係ないんじゃない」
こんな論理は通用しない。


従業員に法律を教えなかったため、従業員が犯罪を犯したら、同じだ。


金融商品取引法第38条は、禁止行為が書いてある。
第三十八条  金融商品取引業者等又はその役員若しくは使用人は、次に掲げる行為をしてはならない。ただし、第三号から第五号までに掲げる行為にあつては、投資者の保護に欠け、取引の公正を害し、又は金融商品取引業の信用を失墜させるおそれのないものとして内閣府令で定めるものを除く。
一  金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して、顧客に対し虚偽のことを告げる行為
二  顧客に対し、不確実な事項について断定的判断を提供し、又は確実であると誤解させるおそれのあることを告げて金融商品取引契約の締結の勧誘をする行為
三  金融商品取引契約(当該金融商品取引契約の内容その他の事情を勘案し、投資者の保護を図ることが特に必要なものとして政令で定めるものに限る。)の締結の勧誘の要請をしていない顧客に対し、訪問し又は電話をかけて、金融商品取引契約の締結の勧誘をする行為
四  金融商品取引契約(当該金融商品取引契約の内容その他の事情を勘案し、投資者の保護を図ることが必要なものとして政令で定めるものに限る。)の締結につき、その勧誘に先立つて、顧客に対し、その勧誘を受ける意思の有無を確認することをしないで勧誘をする行為
五  金融商品取引契約(当該金融商品取引契約の内容その他の事情を勘案し、投資者の保護を図ることが必要なものとして政令で定めるものに限る。)の締結の勧誘を受けた顧客が当該金融商品取引契約を締結しない旨の意思(当該勧誘を引き続き受けることを希望しない旨の意思を含む。)を表示したにもかかわらず、当該勧誘を継続する行為
六  前各号に掲げるもののほか、投資者の保護に欠け、若しくは取引の公正を害し、又は金融商品取引業の信用を失墜させるものとして内閣府令で定める行為

上記で特に注意すべきは、テレアポだろう。
三  金融商品取引契約(当該金融商品取引契約の内容その他の事情を勘案し、投資者の保護を図ることが特に必要なものとして政令で定めるものに限る。)の締結の勧誘の要請をしていない顧客に対し、訪問し又は電話をかけて、金融商品取引契約の締結の勧誘をする行為
・・・1回目のテレアポは、上記の「勧誘の要請をしていない顧客」か否かが不明だから、許されるだろう。しかし、一度断った顧客に二度、三度と電話することは、禁止される。
・・・また、テレアポで顧客が「勧誘を受ける意思の有無を確認」しない勧誘は禁止されている。すなわち、テレアポ時に「今から貴方を勧誘しますが、勧誘を受ける意思がありますか?」という確認が必要と言うことだ。

本法律を順守する必要があるが、順守していると、テレアポは成立しないだろう。
上記の違反に対しては、1年以下の懲役または300万円以下の罰金刑が課せられる。


さらに、テレアポで従業員を犯罪者にする法律は、個人情報保護法であろう。

個人情報の目的外使用は禁止される。同窓会名簿を第三者に提供する者は、記載される同窓生の全てに、名簿を第三者に提供する目的を説明し、了承を得る必要がある。
例えば、同窓会名簿を何らかの手段で手に入れた者が、企業に有償で譲渡した場合、譲渡を受けた者が、同窓生にテレアポをしたとする。
この場合、第三者に提供する者は、この名簿を使って第三者の●●がテレアポすることを同窓生に譲渡の前に連絡し、了承を得なければならない。


法律を真面目に順守するとなると、テレアポを中心とする販売促進は不可能だろう。さらに、既にテレアポの手法として限界を迎えている。

このような経営環境を考えると、テレアポでしか営業できない従業員と創意工夫できる従業員では、大きな差が生じると思う。

今こそ、本当の営業の腕が試される。それは、顧客が何を求めているか、どんな営業マンから購入したいか、それを既存顧客に教えて頂くことから始まる。答えはお客様が持っている。社内にはない。