ISOのPDCAで核となるAに相当するマネジメントレビューのアウトプットで、最高経営層から頻繁に指示される「経営に役立つISOとなるよう継続的に改善することを望む」に関して、審査における経営者面談でこの指示の効果をお聞きするが、中々効果が現れてはいないようだ。
経営者にそもそも「ISOが経営に役立っていると言える状態は、どんな状態ですか?」とお聞きしても、経営者から具体的なお答えが返ってきたことは少ない。時には、「それを考えるのが、管理責任者の責任と権限」という主旨の発言もある。
「経営に役立つISO」という指示を発する最高経営層が、その状態を具体的にイメージできていなくて、どうやって管理責任者がその状態を実現できよう。
これでは、ゴールも距離も方向も何も決まっていないマラソンで優勝しろと命じているのと同じだと思う。
経営者は難しいことを難しい言葉で指示せず、分かりやすく、しかも誰もがワクワクするゴールを明示し、そこに向かう具体的な方法も他人任せにせず、自らも考え、管理責任者と二人三脚で考えてはいかがだろうか?
大企業の場合は豊富な人的資源があるので、我々のような主任審査員や中小企業診断士が指導することは不要であろうが、人的資源を中々割けない中小企業は、自分ひとりで悩まずに、どんどん相談してほしい。
認証取得後の悩み、不安、認証取得前の不安など経営者が抱える課題は沢山あろう。商工会議所、商工会を通じても、直接でも他人の知恵を借りる知恵を持つ勇気があれば、この時代を乗り切ることができると思う。