世界遺産〜石見銀山〜

14日(金)〜15日(土)
大田商工会議所で「住宅版エコポイント制度を活かした上手な販路開拓」というテーマの講演を目的に島根県大田市に出張
大田市には世界遺産で有名な石見銀山があり、かつ義手、義足やその他の医療用器具で有名な中村ブレイス株式会社がある。
講演翌日の15日(土)は、主催された商工会議所のご担当の方の特別の計らいで石見銀山、サンドミュージアム、埋没林、出雲大社を快くまで堪能させて頂いた。

サンドミュージアムには、世界最大の1年砂時計「砂暦(すなごよみ)」があり、その大きさと時時刻刻砂が流れる様が、時の流れをビジュアルに表現されていて、時間の大切さを目で見ることができた。ちなみに、大みそかに市民の方々によって、砂時計はぐるりと回転させられて、新たな1年間の砂暦を刻んでいくとのことである。


石見銀山世界遺産センター訪問前に石見の街並みを拝見させて頂いた。歴史的街並みが保存された街には世界的に有名な中村ブレイスの街の景観に合ったデザインの工場等を拝見し、その後はセンターを訪問した。センターでは、素敵な女性が案内をして頂き、石見銀山に関する興味深いお話を聞かせて頂いた。16〜17世紀における石見銀山から産出される銀が世界経済における重要な地位を占めていた点等は、我が国の歴史をダイナミックに知るには、とても興味深い話であった。また、銀の精錬過程で鉛を使う際の鉛中毒を防ぐために、マスクを既に使用していた点や、鉛毒を軽減するためのマスクの内側に梅干を使用した点等は、まるで現代の有毒マスクの吸収缶をイメージさせるものであった。
銀山の発見の話も興味深く、海から山に光るものをみつけたことがきっかけだったとのことは、その当時の目利きの方が石見銀山の歴史を作ったのだな〜としみじみと思った。
当日は見学できなかったが間歩(まぶ)という銀を採掘した坑道は、見学可能な間歩もあり、次回はぜひ長靴をはいて見学したいと思った。


次に向かったのは、ある偶然の重なりで現生にその威容を見せた「三瓶小豆原埋没林」である。三瓶山とは、国引き神話で大山とともに国を引く際の杭に使った山とされ、出雲風土記では「佐比売山(さひめやま)」の名で記されているそうだ。 「佐比売」の名は、1954年に大田市に合併するまでの地名「佐比売村」として残っていたようである。現在、三瓶山は火山として認定されている。
1983年(昭和58年)水田の整備工事で掘削していると、地中に埋設された巨木が発見された。その巨木は掘っても掘っても下につながっており、引き抜くことはできず、必要な深さで切断され工事が完了したそうだ。その際、近所の方が珍しいということで1枚の写真を撮影されていた。
その写真が1990年になって、地元の火山研究者の松井先生の目にとまり、そこから「三瓶小豆原埋没林」が現生に現れることとなった。
3500年〜3700年前、三瓶山最後の噴火による土石流は、下流の森林を飲み込み、埋め尽くされた。まるで「ポンペイ最後の日」のようだ。強大な破壊力を有する土石流にも耐えて、しっかりと根を張ったままの巨木は、高さ50〜60m程あったそうだが、これらがすっぽりと埋まり、自然の偶然の中、酸素が不足する状態で埋まり続けた。その結果、有機物を不足させる菌も繁殖せず、埋まった当時の姿で偶然発見され、そして本格的は発掘調査が実施された。
三瓶小豆原埋没林公園は、その巨木が間近で見ることができ、かつ触ることもできる貴重な経験が可能な公園だ。
胸高直径で10m、推定高さ60mもの巨木が今の時代に生き生きとした姿を見せてくれる。縄文時代の世界を眺め続けた巨木だ。
これらの巨木がこの世に誕生した頃、出雲の地には八百万の神々がおられ、その明るく、朗らかな、純粋な日々を眺めていたのかと思うと、長い時間の経過を感じることができる。


最後に訪問したのは、縁結びの神様の出雲大社だ。土曜日であったため、多くの参拝の方々で賑わっていた。
一歩参道に踏み込むと、空気感が違う。荘厳で清涼な空気感だ。玉砂利を踏みしめ、本殿に近付く、多くの方々が参拝されていた。自分も靖國神社等を参拝するが、基本は「二礼、二柏手、二礼」だが、参拝されている方々を見ていると「二礼、四柏手、二礼」のようだった。
現在、出雲大社では平成の大遷宮が行われていたため、本殿等には参拝できなかったが、その雰囲気は十分に味わうことができた。
なお、一般に10月は「神無月」というが、それは日本中の神様が出雲大社にお集まりになるためだそうだ。そこで、当地では10月のことを「神在月」(かみありつき)と呼んでいる。10月を神在月と呼ぶのは出雲地方以外には、長野県の諏訪大社の周辺でも「神在月」と呼ぶそうだ。


サンドミュージアム石見銀山、小豆原埋没林公園、出雲大社と巡ったが、どこも時間があれば、もっとじっくりとお話をお伺いし、空気を肌で感じ、歴史を感じることができると思った。次回は、家族でゆっくりとした時間を過ごしたいと思う。


岩のような写真があるが、これが「さざれ石」だ。出雲大社の駐車場近くにあった。「さざれ石」とは、我が国の国歌に登場する「さざれ石」のことである。岐阜県の方から献上されたそうだ。

君が代

千代に八千代に

さざれ石の

巌となりて

苔のむすまで




今、日本人が自信と誇りを徐々に失いつつあると懸念されている。ぜひ、日本人として自信と誇りを取り戻すためにも、出雲、大田を訪問してみてはいかがだろうか。
出雲空港までは快適な空路で、その後はバス等の公共交通機関、あるいは思い切ってナビ付きのレンタカーを空港で借りて、古代を想う旅も乙なもんだと思う。