考慮事項には、技術上の選択肢、財務上の要求事項、運用上の要求事項、事業上の要求事項、利害関係者の見解が列挙されている。
各認証取得企業では、これらを考慮したか否かを○×で表現し、一つでも×があれば、目的・目標としないというケースや×の数がいくつ以上なら設定しないなどの取り決めがなされている。
この取り決め事態は、問題がないが、それぞれの要求事項の具体的な判断基準を決めて○×を付けているか否かが問題、あるいはもっと考えるべきと思う。

技術上の選択肢:利用可能な最新技術がないため、目的・目標に設定しても影響緩和ができないという理由で、監視項目になるケースがある。ここで考えたい点は、利用可能技術がないのか、知らないのか、知る努力をしていないのかだ。万が一、直感的に不可能と思うだけで、知る努力をしていないとしたら、そこにはISOだけでなく、企業の姿勢の根本的な問題が横たわっているかもしれない。逆に利用可能技術を頑張って探して見たが、世の中にないと判明したら、その技術は開発の価値があると思えるかもしれない。この要求事項一つとっても、思考停止状態になれば、商売のネタを見過ごすこともありうるということが理解できる。

財務上の要求事項:目的、目標に設定すると、コストが多大になるため、設定できないとする理由である。ここでは、コストがいくら以上ならば、多大と考えるかの根拠があったほが、運用しやすいと思う。全く別の話であるが、例えば部長が決裁できる金額、課長が決裁できる金額、一般社員が決済できる金額などを決めてはいないだろうか。そのような取り決めは、その程度の出費ならば会社経営に及ぼす影響が小さいので、取締役会に諮らなくともよいとの判断が事前になされているのだと思う。例えば、この金額基準を財務上の要求事項の判断基準にするなども参考にならないだろうか。

ツボ:技術上の選択肢で自社の技術を省みて、新技術の開発の可能性を探す機会にする。財務上の選択肢も判断基準を自社内で確立する。これは、形式的な審査では問題視されないだろうが、ISOを本当に経営に役立てたいとするならば、真剣に考えてみる価値がある。
明日以降は、運用上、事業上、利害関係者の見解を解説したい。