コンプライアンス経営という言葉は、すっかり一般的な言葉になってきていると思うが、企業等の法人に限らず、個々人の自然人も法律は最低限のルールとして順守することは当然であろう。企業のマネジメントシステムに関する規格要求事項を定めたISOも当然にコンプライアンスを念頭に置いている。
ここでは、コンプライアンス経営の一般論ではなく、ISOで意味するところの法的要求事項、その他の要求事項を考えたい。
まず、法律を守ることは当然であろう。守ることが当然の法律について、あえて規格要求事項が定められている理由を考えてみると、
規格で明記しないと企業は法を守らない可能性がある
法を守るのは当然で、法的要求事項以上の何かを求めている
等と考えることができる。
例えば、水質汚濁防止法に定められる排水基準未満の排水量の工場では、水質汚濁防止法の適用はないだろう。しかし、環境への影響が大きいと考え、自社で自主基準として排水基準を適用し、排水の水質を監視測定し、基準を超える場合は何らかの措置をするという行為は、法的要求事項を適用した事例になろうと思う。
法的要求事項、その他の要求事項を特定し、自社に適用する作業は、大変な作業になることと思う。また、改訂が頻繁な環境法規制については、最新版の維持が大変であろう。しかし、企業防衛という発想から、環境管理責任者、事務局の皆さんは、頑張ってほしいと思う。
自分が構想しているビジネスでは、このような大変な作業をお互いに助け合う組織も検討しているので、ビジネスプラン発表に期待して待っていて欲しい。

法的及びその他の要求事項に関しては、重要な規格要求事項であるので、数回に分けて解説したい。