b)を簡略して記述すると、要求事項は、
①著しい環境側面を決定する
②著しい環境側面に関する情報を文書化し、常に最新のものとする
③環境マネジメントシステムには、著しい環境側面を確実に考慮に入れる
本日は、①に関して記述したい。
そもそも、著しい環境側面とは何かであるが、英語ではsignificant environmenntal aspectであり、significantの意味が「重要な、重大な意味を持つ、影響を及ぼすほど大きな、特別な意味を持った、意味ありげな」(ウィズダム英和辞典)であるため、素直に意味を考えると、重要な環境側面、重要な意味を持つ環境側面、影響を及ぼすほど大きな環境側面、特別な意味を持った環境側面、意味ありげな環境側面となり、これらの意味合いの中で、環境に著しい影響を与えるか与える可能性のある環境側面という意味に真正面から対立しなければ、組織が解釈することも許されると思われる。
すなわち、著しい影響とは思えないが(言えないが)、組織が重要な意味を持つと考えれば、著しい環境側面として決定しても良いと思われる。
なお、著しい環境側面の決定方法で一般的であるのが、リスク評価と言われる手法であろう。この手法は、環境側面を発生確率と被害程度で数値的に評価するもので、味付けに法的な要求の有無を加えることもある。この方法でなければならない理由はなく、またこの方法が万能でもない。
組織が合理的と思える手法であれば、リスク評価だけでなく、最高経営層の思い入れで決めることも問題ないと思う。
審査で最高経営層の思い入れで決めたという手法に対して、審査員から「誰がやっても同じ環境側面が著しい環境側面に特定できなければ、合理的手法とはいえません。指摘ではありませんが、改善する必要がありますね」等といわれるかもしれない。さらに、「もしも、社長さんが交代したら、同じ環境側面でありながら、決定される著しい環境側面が変わりますね」と言うかもしれない。
そんな時は、「社長が変わることは当社のような中小企業ではありえない。継承問題が起こった際は、それはISOどころの騒ぎではありません」位の受け答えで良いと思う。
審査員と受審組織はあくまで対等な立場であり、審査の拠り所は、JISの規格要求事項が全てであることを確認しあうことが重要だと考える。