ISOの認証を取得すると決めた組織は、責任者を任命し、事務局(担当者)組織化する。その後は、自社の業務プロセスの分析、システム構築等を経て、運用となり、審査登録機関の審査を経て認証を取得することとなる。
認証を取ると最高経営層が決定し、認証取得までは、多くの苦労があるが、この時期は組織が一丸となる。これは、認証取得という明確な目標を共有しているためだと考えられる。
苦労して取得した認証は、登録証を掲示したり、ロゴやシンボルを名刺やパンフレットに印刷し、認証取得の実感は組織構成員も感じる。
その後、認証取得の苦労や取得の喜びは日々記憶が薄らいでいく。その結果、ISOは最高経営層と責任者、事務局でISOを維持を目的となっていく。全ての組織に当てはまることはないと思うが、そのような企業も多く、各社とも悩んでいるとお聞きすることが多い。
ISOは認証取得よりも認証取得後が重要である。認証取得のための費用、維持のための費用は認証取得のため、維持のため「仕方が無い出費」という考えもあるだろうが、出費以上の経済的な効果が得られれば企業経営にとって、ISOが役立つこととならないだろうかと思う。
例えば、ISO14001の認証を取得し、紙、ゴミ、電気を管理し、多少のコストダウン効果があったとして、それは環境問題への貢献もあろうが、組織全体の変動費に占める紙、ゴミ、電気のコストがどれだけあって、そのコスト削減効果がどれだけ、組織の損益計算書貸借対照表に効果があるかを考える必要があろう。
審査業務の中では、ISOの費用対効果の向上に真剣に取り組む組織の最高経営層や責任者の方と出会うこともあり、素晴らしい知恵を見ることがある。このような組織は比較的中小規模が多い。一方、ISOを経営に役立てたいという想いをあまり感じ取ることができない組織では、ちょっとした考え方を変えるだけで、もっと効果が上がりそうだと想うことも多く、役立てている会社のことを事例としてお話したくもなるが、審査員が厳守する守秘義務があるため、お話しすることはしない。
ISOを使って勝ち組となり、ISOを使って自社の価値を高める。こんなことで、ISO認証取得企業に貢献したいと想う。