私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(通称、独占禁止法)で逮捕された。天下り、官製談合等の疑いのようだ。
防衛施設庁防衛庁の外局として、非常に少ない技術者集団が全国に数百とある自衛隊の駐屯地、基地に関する様々な業務を担ってきており、特に自分と同じ土木屋はその中でも少数者の集団だ。自分が会社で仕事をしている頃は、防衛施設庁の仕事も沢山担当した。お客様である防衛施設庁の技術者は、時に厳しく、時にフランクでお互いが仕事を通じて成長する関係にあった。また、彼らは非常に義理堅く、ある業務で徹底的に頑張って最高の成果を提出すると、その方が他の局に異動されても、お互いに連絡を取り合っていた。
今、天下りがこの事件でマスコミ等が注目し、天下り=悪の温床、税金の無駄遣いの原因等の世論が盛り上がることと思う。これはある意味仕方のないことだと思う。しかし、全ての天下りが悪だと言えるのだろうか。
自分がお会いした天下りされた方々の中には、例えば某県庁で初の生え抜き課長となって退職された方は、私が働いていた会社に天下りされ、元本庁の課長という権威ではなく、優れた人間性で多くの方から愛され、その結果、大変多くの仕事を受注されていた。この方と一緒に県庁に営業回りに行った際、彼は数え切れない数の名刺を持って行き、廊下を掃除しているおばちゃん、食堂のおばちゃんから、部課長までニコニコしながら、元気な声で挨拶しながら名刺配りをされていた。特に、自分の部下が課長となった部署では、自分が育てた部下だった方にも係らず、その課長に深々と頭を下げ、「○○をよろしくお願いいたします」と私の名前を言ってくれた。そして、数年間にわたって働きまくり、原因は分からないがお亡くなりになるまで、自分の天下り先にために東方西走され、走りきるかのようにお亡くなりになったと聞いた。この方がレアケースかもしれないが、天下り=悪の温床はこの方には当てはまらないと思う。
このような方ばかりであれば、天下りは大歓迎であろう。しかし、多くの企業では仕事を取る道具として天下りを受けており、本人も車の送り迎え、個室が欲しい、働かない、等のまさに天下り問題を象徴するような方も見てきた。
再雇用制度によって、中高年のキャリアを活用するという観点での天下りに何とか改革できないものかと思う。
しかし、今回の逮捕は自分にとって、とても残念なことでもあり、今後の動きを見守っていきたいと思う。