という言葉を会社員時代に上司から言われ続け、その後自分が管理職者になってからは、自分も言い続けた。
どんなに注意深く作成した書類も必ずやミスがあるとして、入念なチェックを二重三重に行い、書類を手放す。手放した書類は、意味を持った文字列として一人歩きする。一旦手を離れた書類は、言訳が通用しない。
そんな考え方で仕事を進めることを心がけている。
このような考え方で仕事を進めると、小さなミス、例えば誤字・脱字、送り仮名の間違い、接続詞のミスなどの小さなミスはかなり防ぐことが可能となる。
しかし、このように小さなミスばかりに目を向けると、大きなミスに気づかないこともある。
大きなミスは、小さなミスに比べて取り返しのつかないこととなる。
ミスを自覚して構造計算書を公にした一級建築士の犯したミスは、ミスとは言えない。これは、犯罪だと思う。
同じ士業として、耐震性に乏しいマンションに係った建築士に対して、憤りを感じる。
士業としての誇りは無かったのか。
今、建築に対する不信感は世の中に蔓延している。心配は地道に真面目に頑張る中小建設業に及ぼす影響である。近いうちに中小建設業の経営者の方々に講演する機会を頂いているが、彼らにこの事件を自社にとってのチャンスに変えていただけるような話しをし、少しでも建設業界に元気を持ってもらいたいと思う。