世の中のほとんどの会社で、できればコストダウンしたいなという漠然とした希望を持ち、できるところから手をつけているのではないだろうか。
例えば、ミスコピーは捨てずに、社内用の文書のコピー用紙にする、使わない部屋の電気を消す、昼休みにも電気を消す、交際を削る、社員の日当を廃止する、残業手当を上限カットする(これは労働基準法違反の恐れがあり要注意)などの経営者がそれほど考えなくても、誰もが思いつくコストダウンであろう。
問題はこの先をどうするかだ。これは、難しい。業種や業態、会社の文化などの複合的な要素を勘案して、手法を選択する必要がある。
しかし、原点に帰って真剣に考えるべきは、なぜコストダウンするかという理由、何%コストダウンするのかの基本的なことであろう。
何となくできるコストダウンをして、結果的に何%コストダウンできたという結果管理では、効果は少ないと思われる。
さらに、なぜコストダウンするかを経営者だけでなく、全従業員が共有の理解をしておかなければ、さらに効果は少ないだろう。
このように考えると、コストダウンもPDCAを回すことで、効果が目に見えてくるのではないだろうか。すなわち、コストダウンに関する経営者の基本方針の設定、その方針を実現するための目的・目標・計画・経営資源配分などのP(計画)の部分、この計画を実践するD(実行)、さらにその実行を監視・測定する(C)、そして経営者による見直し(A)といういわゆるマネジメントサイクルによる継続的改善の実行ということだ。
自分は環境ISOの審査員として多くの企業の環境マネジメントシステムを見ている。大企業から中小企業まで見ているが、マネジメントサイクルを自社の組織文化にまで昇華した会社は非常に少ない。
マネジメントサイクルは便利は経営の道具(ツール)であり、環境でも、品質でも、マネジメントサイクルを取り入れないと認証が取得できないものを自らの目標に設定し、マネジメントサイクルを自社内で回すトレーニングを行うことで、どのような会社でも、様々な場面でPDCAを意識せずにできるようになるだろう。