「うちの社員は優秀な社員が多くて、真面目だけが取り柄なんですよ。でもね、売上が上がらない、利益も出ないんじゃどうしようもないですよ。商品も結構安くていいものなんですが。どうしたもんでしょう?」
なんて話はよく聞きますよね。そもそも社員を選んだのは社長自らの決断なので、社員を悪く言いたくないでしょう。それは、社長の過去の決断を自らが否定することになるからです。
倫理法人会が毎週末に会員へ流すレターで「今週の倫理」というものがあります。今週号は394号で「小さなことから会社が変わる」という事例でした。
今週の事例では、営業成績が低迷する事業所が見事に立ち直り、模範的な営業所に変貌すると言う話です。
概略を書きますと、その営業所のてこ入れのため、その会社は役員を所長として送り込んだ。役員が営業所を見回すと、所内は重く暗い雰囲気で、書類は整理されていない、倉庫は全く整理も整頓もされていなかったそうです。そこで、所長は自らが書類の整理、倉庫の整理に励みました。営業所の全ての整理に1ヶ月もかかったそうです。
その姿を見ていた営業所の従業員は、所長の態度、行動に心を動かされるのにそれほどの時間はかからなかったようです。
これを期に、営業所内の雰囲気は明るく快活になり、全体に「やる気」が充満し始めたそうです。そして、お荷物営業所は模範営業所に変身したということです。
どうです?その営業所はたまたまポテンシャルの高い社員だったからできた?所長一人が頑張っても普通は誰もついてこない?いい事例だけを取り上げている?
などと思った社長さんはいませんか?この話をお聞きになって、どう捉えるかは読み手の自由でしょう。この話の中に経営のヒントをつかんでもらえれば幸いです。しかし、この話が自社には当てはまらないと考えるのも自由ですが、それはこの文章を書いた自分の表現力の無さと想い反省します。
「小さなことから会社は変わる」といいます。小さなことの一つに、整理・整頓を取り上げた事例企業ですが、例えば、明るい挨拶を社長自らが率先して行う、社員はきっと驚き、戸惑うでしょう。社長も照れてしまうでしょう。それでも、毎日毎日繰り返すことで、会社の雰囲気が変わり、社員の気持ちが変わると思いませんか。
一番いけないことは、直ぐに効果が出ないといって、やめてしまうことです。たとえ、社長が元気に明るく挨拶しても社員から元気な挨拶が返ってこないとしても、毎日毎日続けましょう。継続こそ最大の力になります。