kosakayuji2005-02-18

4日間にも及ぶまとまった研修を受講したのは、会社勤めの頃に課長研修を受講して以来何年ぶりだろうか。これまで受講した研修は、大半が知識を吸収するスキルアップが目的の中心であった。
今回受講したインストラクター養成研修は、スキルアップも目的の一つであったが、インストラクションと講義の大きな違いを理解できた。
講義は知識を豊富に有する講師が一方的に知識を教え込む、講義の中で知識の定着を目的にグループワークが盛り込まれることはあるが、あくまでも知識の習得が目的であろう。
一方、インストラクションでは講師はインストラクターと呼ばれ、受講者に提供するものは知識も当然であるが、むしろ受講者同士で学ぶ場と空間を提供し、受講者自らが学びの重要性、楽しさを理解し、自ら学ぶ姿勢を身に付けるというものである。
講義が一時的な効果である点に対して、インストラクションは受講者の自発的かつ継続的な行動を誘発することを目的にする。
この4日間の研修を通じて、インストラクションの入り口に立てた。今まで講義を中心とした講師稼業であったが、今後は、自分の知識、価値観を受講生に押し付ける可能性の高い知識の押し売り、価値観の押し売りとも思われるような講義方法を改めようと思う。
長期間の研修であったが、得られたものを今後具体的な場で実践したいと思う。
一方、この研修では素晴らしい縁も沢山あった。
1ヶ月31日間違うアイスクリームの味を提供するFC展開のアイスクリーム会社から参加した女性は、本当に明るい笑顔と元気な挨拶が印象的であった。その女性が新任店長に対する研修を15分間にまとめたインストラクション実習をされたが、インストラクションスキルうんぬんよりも、その女性が説明した企業理念の素晴らしさ、その企業理念を店長がまず第一に勉強すること、その女性自身が企業理念に共感していることなど、その女性一人を見ただけでその企業の素晴らしさを実感できた。
We make people happy!「私たちはお客様に美味しさだけでなく幸せをお届けする」という趣旨の経営理念は、サービス業が忘れてはならないお客様に何を提供すべきかと言う基本的な内容を簡潔に表現している。このような経営理念はサービス業では当然かもしれない。しかし、この企業では一人の女性社員が経営理念に誇りを持ち、それを店長に伝え、店長はそれを基礎に店舗運営をする。すなわち、末端まで創業者の想いが伝わっていると言うことが素晴らしいと思った。
唯一この研修で残念ではあったが、反面教師として勉強させていただいた講師の方もいた。
自分が自己紹介で述べた自分の保有資格、あるいは先輩講師から頂いた各種人材開発のためのツールに対して、受講者に対抗意識丸出しで「自分は30もの資格がある、今使ったツールは知っている」といった発言は尊敬すべき先輩講師の発言としては残念であった。もっとも、全体を受け持っていただいた講師の方は、落ち着いて自ら何も言わなくとも人間性の素晴らしさが滲み出ていた方で、残念な講師の方は最後だけ応援の方であったので、研修全般としては素晴らしかったという判断は何ら変わるものではない。