東電が謝罪する理由

福島第一原子力発電所東北地方太平洋沖地震に伴う津波によって原子炉の冷却機能を喪失し、水素爆発などによって放射性物質が大気中に放出され、避難指示等で多くの方々が自宅で住めず、仕事もできない状況になっている。

東電は社長以下が地元に行き、謝罪を繰り返している。

なぜ、何に対して東電は謝罪をしているのだろうか?

福島第一原子力発電所が設計された当時、津波を考えた設計をしていなかったとしたら、それは設計段階の大きなミスを認め謝罪すべきだろう。しかし、東電は津波を想定していた。ただし、その高さが福島第一原子力発電所が立地する場所で過去に遭遇したことのない高さの津波であった。
想定以上の津波を予見していなかったことに対する謝罪なのだろうか?

津波で非常用電源が喪失しても、それをカバーする代替電源を確保していなかったことに対する謝罪なのだろうか?
これも、設計段階で考えていたはずだろう。エンジニアは様々な事態を想定し、安全を確保していたと信じたい。

今回の事故の原因は、設計以上の高さの津波が直接的な原因であることは明白だ。

そうすると、東電が謝罪する対象は津波が起こったことに対してなのだろうか?
これもナンセンスだ。

結果的に、そこに原発があって、避難を余儀なくさせた点は、多くの方々の人生に多大な影響を及ぼしている。
しかし、その原因、責任は全て東電にあるのだろうか?

原子力発電は国策であり、自民党からその国策を受け継いだ民主党にも責任がないとは思えない。

もう一点気になる点は、東電自身、何に対する謝罪かを明確に意識しているか否かだ。

単にその場しのぎで謝罪しているとしたら、最もたちが悪い。

東電は全社的に事故の復旧に努めている。命を賭して現場で泊まり込み、必死で昼夜関係なく、高レベルの放射線量の中頑張っている。そんな社員や協力会社を考えると、謝罪だけを取り上げるのではなく、彼らをもっと取り上げ、国民全体で東電に感謝と激励の意を示したい。