今月中に書き上げるお約束の原稿がある。内容は、今年の5月に施行された会社法を小さな会社向けに分かりやすく解説した小冊子である。
この本を書く前から、中小企業診断士の受験生向けに法律関係の講義を経験してきたので、簡単に書けると高をくくっていた。
ところが、いざ書こうと思うと、中々書けない。会社法に関しては、何冊もの市販の書籍を購入したり、会社法そのものを熟読したりしてきた。しかし、自分でオリジナルな文章を書こうとすると、書けない。
書けない、思いつかない、締切りが近づく・・・どうしよう!
2週間近い間、移動の最中、食事の最中、トイレの最終、風呂でもいたるところが書斎と化して、四六時中考え抜いた。
すると、どうだろう。突然、読み手の声が聞こえたような錯覚を覚え、その声に応えるため、小冊子に記載する内容の目次が、頭の中をす〜っと走り回った。
まずは目次の文書化、次に各章に書くべき内容の列挙、内容に必要な情報の整理・・・自分でも信じられないくらいに、執筆が進んだ。
現在、全体の4割程度であり、今週中に脱稿する予定だ。そして、最後のチェックと修正をし、納品となる。
この原稿が秋頃書籍化され世に出されることが楽しみだ。そして、小さな会社の社長さんが、手にして役に立ち、「分かりやすいね」、「やっと会社法が分かったよ」と言ってもらえる風景をイメージして最後の追い込みに入ろう。

ところで、今回、「考える」ということを考えてみた。全くの無から、形あるものを創造することが考えることだと思っていたが、「考える」ことの大半は、頭の中に蓄積されている知識、経験、記憶などを再整理し、集大成する行為のようにも思えた。その中に創造的な内容が含まれることで、新しいことが見えてくると思う。
KJ法を創造した川喜田二郎氏もそれまでの経験、知識、あるいは、よりよい思考方法の模索の中から、あの素晴らしいKJ法を創出されたことと思う。
川喜田氏にKJ法を思いつかせ、体系化させてエネルギーは、分かりやすい思考方法を絶対に作るぞという強い想いと情熱だったと思う。