b)を簡略して記述すると、要求事項は、
①著しい環境側面を決定する
②著しい環境側面に関する情報を文書化し、常に最新のものとする
③環境マネジメントシステムには、著しい環境側面を確実に考慮に入れる
本日は、②に関して記述したい。
何を文書化するという点をまず、記述したい。
当然、決定した著しい環境側面であるが、ここでは、著しい環境側面に関する情報という言葉をどう捉えるかによって、違ってくる。
私は、著しい環境側面の決定の手順、その手順で記録しておいたほうが、後々役に立つ情報も文書化すると考えている。
一般的に手順は、リスク評価の方法が採用されている例が多い。すなわち、ある環境側面があり、その影響に関して、影響の程度や被害の程度、発生確率や発生頻度を何らかの方法で数値化し、足し算や掛け算で評価値を算出し、評価基準と比較することで、著しい環境側面として特定するか否かを決定する方法である。
この方法は、非常に合理的であるが、手間のかかる方法であることは確かだ。
また、この方法でなければ不適合ということでもない。
従って、例えば社長が大事だと思う環境側面を特定しても問題ないと思う。中には、誰がやっても同じ答えが出る手順でなければ、合理的でない、論理的でないという審査員もいることだろう。しかし、合理的とは何かを考えて欲しい。あるいは論理的でなければいけないのかを考えて欲しい。
大企業における考え方を中小企業にそのまま当てはめる審査やコンサルティングは認証取得後の中小企業を苦しめていないか否かを想像してみるべきだと思う。
環境マネジメントシステムは、ある意味、著しい環境側面を管理するシステムであると考えると、ここは非常に重要な要求事項となる。だからこそ、運用において無理、無駄、ムラがないスタートを切って欲しい。
まずは、自社を大所高所から眺め、何が一番重要かを考え、次に何に重点を置きたいかを考える、このような思考方法で徐々に著しい環境側面を絞り込むという考え方のほうが、よりシステムの効果を高めるように思う。
「最新のものとする」は、自社の製品、サービス、活動の変化に応じて、あるいは経済社会の変化に臨機応変に対応して、著しい環境側面も見直しをし、何年も同じものではないようにしましょうということを要求している。