a)項では、「適用範囲の中で」、「組織が管理できる」、「組織が影響を及ぼすことができる等は環境マネジメントシステム構築に当って注意すべき事項であり、これらに関する所感を示す。
「適用範囲の中で」
適用範囲とは、組織が決めた環境マネジメントシステムの適用範囲である。具体的には、本社、支社・支店、工場、配送センター等の物理的な適用範囲であり、事務活動、製造活動、施工活動、設計活動等の活動上の適用範囲となる。
すなわち、環境側面の特定は組織が定めた適用範囲の中で行うもので、範囲外まで考慮に入れる必要は無い。
「組織が管理できる」
組織が自らの意思、判断が可能な環境側面であり、例えば事務作業における紙の使用、電気の使用、燃料の消費、大型建設機械の稼動等がある。
「組織が影響を及ぼすことができる」
組織が直接は管理できないが、組織が要求、提案、指導等を行うことが可能と組織が考える環境側面である。自分は、ここであえて「組織が可能と考える」と入れている。一般的には、可能と考えられている、あるいは可能と考えるべきとされることもある。例えば、設計業務でも基本設計と言われる設計は、設計の自由度が高く、環境上の問題があると設計者が判断し、環境上の問題を回避・低減可能な設計上の提案を行える能力・知識・経験を有する設計者であれば、設計において提案が可能と考えられる。しかし、設計の大枠が決定した後の詳細設計では、環境上の問題に例え気付いたとしても、その段階で環境配慮を盛り込むことは困難で、大半の設計者が環境上の提案を行えるだけの力が無い場合もある。
組織が影響を及ぼすことができるというという内容は、システム構築時にとても悩ましい一文だと思う。
誰が、どんな判断基準で「できる」と考えるのかは、当たり前だが組織が組織独自の判断基準でいいのだが、外部審査における審査員の判断基準と大きくずれた場合、認識のすり合わせが重要となり、組織である程度合理的な説明が可能なように理論武装することが必要と思う。この理論武装は、審査以外の外部指摘にも耐えることとなり、組織で真剣に考えることで、環境側面を検討する中で組織の製品、サービス、活動を改めて真剣に考える機会にもなるため、有効な機会と捉えて進めることが望ましいと思う。