ここでは、二つの「〜すること」という要求事項が示されている。
『環境マネジメントシステムを確立し、文書化し、実施し、維持し、継続的に改善し、どのようにしてこれらの要求事項を満たすかを決定すること』
「文書化し」ということから、マニュアルという文書が必須と思われるが、必ずしもマニュアルが必要という訳ではない。例えば、要領書や手順書等の文書体系があり、それらの関連性が明確であれば、マニュアルが存在しないシステムも可能であろう。しかし、マニュアルがあると便利であることは確かだと思うため、各組織ではマニュアルを作成している。
「どのようにしてこれらの要求事項を満たすかを決定すること」は、マニュアルの4.2以降で明記することが明らかであればよいと考える。これをマニュアルの中で文書化し「これらの要求事項を満たすための手順を、4.2以降で述べる」等とここで明記することも考えられる。審査する立場から考えると、このように明記されていると、非常に確認しやすくありがたい。

『環境マネジメントシステムの適用範囲を定め、文書化すること』
適用範囲とは何かであるが、通常はサイトと言われている。サイトとは、「ある所在地で組織の支配下において活動が行われている全ての土地」であり、固定的、非固定的を問われない。例えば、建設業における建設現場もサイトとなる。
すなわち、ここでは適用するサイトを決める必要がある。その際、全てのサイトを明確にし、適用するサイト、適用しないサイト、適用しない理由を明確にする。
一般的に、環境に及ぼす影響の大きなサイトを適用範囲から除外することは稀なケースであると思うが、万が一除外して認証を取得しようとすると、除外理由が明確でなければ、規格要求事項に不適合との判断がなされる可能性もある。

審査では、全サイトの確認、適用するサイト、適用除外サイトおよび理由、要求事項を満たす方法を確認する。