ISOなんて、通常業務にプラスされるだけで何の役に立つのか?
書類作成、いちいち上司の承認、確認を得るだけ、手間が増えるだけだ。
などと会社員時代に思っていた。そんな自分が、ISOの審査員になる機会は、素晴らしい審査員に出会ったからである。
会社員の頃、ISOは与えられた業務の一つに過ぎず、経営者の環境方針の奥底に眠る意図も理解せず、文句は言いつつ、自ら工夫し改善しようとしなかった。
しかし、その審査員に審査をして頂いた時、ガ〜ンとハンマーで頭を殴られた思いがした。とても、鮮烈で新鮮な気持ちになった。
それ以降、ISOに限らず、仕事は誰かに与えられるものではなく、誰かのために自らが考え、工夫し、時には壁で苦しく、こんなことさえ楽しくてしょうがないと思えるようになった。
そんな審査員との出会いは、自分を審査の世界に導いてくれた。
その審査員は、私に「ISOは会社のマネジメントシステムの一つに過ぎない。しかし、会社のマネジメントシステムであるからには、会社のことをよく知っていることは審査員として最低のエチケットである。ただ単に、規格要求事項を知り、ただ単に環境問題さえ知っていればよいという訳ではない。会社のことを知るには、中小企業診断士という資格があり、それを勉強すると良い」というアドバイスが全てのスタートであった。
素直に診断士の勉強をし、素直に審査員補として先輩の主任審査員のコバンザメのようになり、審査に立ち会った。
今、審査員として活動し、近々主任審査員に昇格できる。
自分の夢は、審査を受けた企業が、審査を通じて自社にとって何が大切かを気づき、それを経営者だけでなく、一般の従業員までもが、同じ気持ちで前進できるようになって欲しいということである。
審査という仕事は、常に新鮮な気持ちと周到な準備が不可欠であり、今回の審査も審査時間以上の準備時間を取った。
次の審査にも最大限の力を注ぎたい。