地震とは無縁と思われていた福岡県での地震は、「災害は忘れた頃にやってくる」を自然界が実演した事例であろう。幸いにも多くの方の生命が奪われることはなかったが、それでも玄海島の方々は避難生活を余儀なくされている。
また、福岡ビルでは窓枠のパテが固化していたため、ガラスの遊びがなく相当数が破損し、道路は割れたガラスが降り注いだという。
この地震は、休日の朝に発生したため、オフィス家具などの転倒による事故が少なかった点が幸いした。しかし、その後のオフィスの後片付け、安全点検などによって、正常な業務開始までに時間を要したことであろう。
自分が中小企業の職場の防災関連の書籍を執筆しているため、自然災害の話題に注意が向き始めたこともあろうが、自然災害が最近増えているように思える。
自然災害の発生、その規模を人間がコントロールすることは今の科学技術では難しいであろう。しかし、一旦発生すると、どんなに素晴らしい会社でも一瞬にして全てを失いかねない。本当に恐ろしいことだ。
企業の防災コストは、できればかけたくないであろう。さらに、いつ発生するかも分からない災害への備えなど、現実味が少ないであろう。
ここで考えるべきは、防災コストの考え方である。今、可能な防災対策を行うと○万円必要と考えると、防災コストは高いものとの印象となる。しかし、想定される災害が発生した場合の被害コストを例えば半分にできると考えれば、今のコストと被害額の半分の額の差引が防災コストにならないであろうか?防災対策による利益のようなものである。
このような観点で、今「職場の防災マニュアル」に関する書籍の最終校正をしている。少しでも多くの中小企業の経営者、職場で防災を任されている方、何となく職場や家庭の防災に不安を持っている方々に読んでいただけると、不安を少しでも小さく出来る内容にしている。さらに、平易さに心がけ、ビジュアルな内容でもある。
この類の書籍、マニュアル類は、いわゆる専門書として数万円で企業向けに販売されることが多いが、今回は中小企業診断士が中心となって書き上げたものであり、より多くの中小企業で活用可能なように価格を可能な限り安価にするよう心がけた点も大きな特徴である。