まるでドラマを見ているような講演だった。
中学を卒業し、ヤクザになるという明確な目的を持って上京し、住吉会で頭角を現し、16年でナンバー2に躍り出る。そして、ゴルフ場では一晩で数億円が預金口座に振り込まれるという。赤坂では肩で風を切り、何も怖いものなし。
そんな中島氏が出会った一人の韓国人女性、その女性に惚れ込み、結婚を申し込む。女性からの条件は、毎週日曜日の教会での礼拝に参加すること。
いやいやながら礼拝に参加、賛美歌を聴くうち、自分でも訳が分からない涙があふれ出る。
それでも、ヤクザ稼業は益々盛んになり、覚せい剤で被害妄想に陥り、ある人間を殺すことを決意、結果的に殺人はできなかったが、それを阻止したヤクザの仲間に連れられて、教会に行く。教会で自分が過去に犯した過ちが走馬灯のように現れ、そのまま4日間が過ぎた。
そこで中島氏が得たことは、神に祝福であり、許しであった。
仲間を殺害しようとしたため、住吉会を破門。そして、何もなくなった。
そこからの人生は、聞くものの心をしっかりと捉え、勇気を与えてくれた。
「人生は変えることができる」ということを身をもって実証した中島氏、明確なビジョンを持って生きる素晴らしさを見せてくれた。
この講演会は倫理法人会が、あえて平日の夜に企画し、忙しくとも、自分を変えて、会社を変えたいと強く願う経営者が集まった。時間があったら行こうかな程度の方を排除した講演会である。やはり、最高の企画であった。
昨日を境に何か目の前の靄がふっと消えたように思った。