仙台でベロタクシーが正式運行するそうだ。ベロタクシーは人力三輪自転車のようなもので、環境への負荷がほとんど無いタクシーとしてヨーロッパで注目されているという話である。
しかし、これに似たタクシーは自分が昭和60年頃に出張したインドネシアでは一般的なものであった。インドネシアでは「ベチャ」と呼ばれ、気軽な移動手段であった。
インドネシアは、モータリゼーションの時代に入って久しく、首都ジャカルタの大気汚染は相当ひどいようだ。発展途上国の環境問題は地球環境問題の深刻なアイテムの一つとされており、我が国からも多大なハードな援助が行われている。しかし、ソフトが伴わない、あるいはソフトは価格が安いため、十分な援助になっていないように思われる。
先進国が注目するベロタクシーは、既に20年以上も前に東南アジアでは一般的な交通手段であった。今、先進国が回帰している。人間は困らない限り学習ができない生き物だったのだろうかと考えてしまう。
インドネシアでベチャに乗ると、行き先までの値段交渉が楽しく、少しでも安くという乗客と日本人から少しでも高くと考える運転手の駆け引きが面白かった。それと、今でも思い出すのは、上り坂では乗客も降りて運転手と一緒にベチャを押していた。のどかな時代の風景である。