想定外

東日本大震災を引き起こした東北地方太平洋沖地震後、テレビやマスコミで各種の専門家センセイが、頻繁に口にする言葉は「想定外」だった。
当初「想定外」という言葉を専門家センセイが口にするたび、「確かにそうだよな〜」と思っていた。
しかし、何度も何度も「想定外」と専門家センセイが口にするたび、徐々に違和感が高まってきた。
専門家センセイは、様々な面で行政や国民生活に対する影響力を発揮してきた。ところが、30mを超える津波に対処することまでは考えていなかった。
「想定外ですから、私には責任はない」と

「想定外」が起こることを想定した事前対応ができていたら、それは既に「想定内」

大切なことは「想定外」が発生した際の対処だと思う。これは、知識とか学歴とか経験等ではなく、生き抜くための知恵のようなものだろう。

津波を前にして、東大でこんな津波が来るなんて先生は言っていなかった。等と言っても無意味

今回は大津波だったが、これが宇宙から隕石が原発を直撃したら何と言ったのだろう。

大切なのは知恵ではなかったのだろうか

「釜石の奇跡」と言われる。釜石市の小中学校の児童・生徒3千人のうち、地震津波で亡くなった子は、5人だった。その5人は、たまたま学校を休んだりした子どもで、学校管理下にあった子どもは助かったということだ。
さすがに釜石市内の小中学校の先生は日頃の訓練が効果を上げたのだとおもっていたが、どうも子どもたちの本当的な生きる力が発揮されたようだ。

釜石市鵜住居小学校では、校舎が地震で倒壊せず、もともとは津波浸水区域外だったので、先生は子どもを最上階に集めて点呼でもしようとしたようです。
ところが、隣接する釜石市立釜石東中学校のお兄さん、お姉さんが小学校の校庭を一目散に走り、高台を目指していた。それを目にした小学生も日頃の中学校との合同避難訓練を思い出し、先生の指示とは関係なく、中学生に続いて走って避難したようです。
そして、日頃の訓練で避難していたグループホームに到着し、一安心ですが、中学生の「ここも危ない」の判断で、さらに500m離れた場所を目指して走ったようです。グループホームは、30秒後の水没しました。
ここには、知識としての津波ハザードマップ地震を語る等という暇はなく、まさに一瞬の判断で生き延びた子どもたちのたくましい姿がありました。

知識、学歴等が不要とは言いません。しかし、「想定外」が発生した際に、知識や学歴が生きるのかが問われることと思います。「想定外」が発生し、周囲をどなりちらし、怯える人間は多数います。しかし、そんな人間が責任者にいてはいけない。