「b)継続的改善及び汚染の予防に関するコミットメントを含む」
継続的改善において、何を改善するかというと、環境マネジメントシステムそのものである。いわゆる環境パフォーマンスとしての結果の改善を直接的に意味するものではない。例えば、排出ガスを伴う製造業を考えてみると、排出ガス中に含まれる二酸化炭素の量を年々減少させることを継続的改善とするのではなく、排出ガスを発生するプロセスそのものを管理するマネジメントシステムを継続的に改善することで、結果的に二酸化炭素量を削減できるという考え方である。
継続的改善とは、PDCAサイクルの特にPに該当するマネジメントレビューで最高経営層が最高の責任と権限をもって、断行するものである。
汚染の予防とは、環境に及ぼす影響を回避、低減することである。しかし、技術的、財政的等の理由で困難な場合は、少なくとも現状を維持し、可能な時期に対応策を取ることも許される。
環境マネジメントシステムは、あくまで企業等の組織のマネジメントシステムであり、その根本にEVABATがあります。
EVABAT=Economically Viable Application of Best Avairable Technology(経済的に実行可能かつ最良な実行可能な技術の適用)
すなわち、経営資源に限りがある場合、可能な範囲の中で環境問題の解決を図ればよいという考え方である。この部分では、中小企業診断士等の経営アドバイスのプロが活躍できる余地があると考える。
具体的な環境方針でこの要求をどのように表現するかというと、
『環境マネジメントシステムを構築し、継続的に改善し、汚染に予防に努めます』
ということでも、規格要求事項のオウム返しで不適合とまでは言えないかも知れないが、環境方針が公開されることを考えると、もう少し改善の余地があるように思う。
『環境マネジメントシステムを構築し、年に1回のマネジメントレビューで環境方針、環境目的・目標を含めた環境マネジメントシステムを継続的に改善する。
省資源、省エネルギーを可能な限り実行し、技術の改善、技術の普及に積極的に取り組み、騒音・振動等の発生抑制、二酸化炭素排出量の削減などの汚染の予防に努める』
このように具体性があると、環境方針が理解しやすくなり、従業員、協力者、あるいは利害関係者の理解が得やすくなると思う。