技術士の部門で総合技術監理部門が新設され、既に多くの総合技術監理部門の技術士が誕生している。自分もこの部門の試験が開始された年に受験し、合格した。
受験の際、技術者の倫理を学ぶ必要性があり、「技術者の倫理入門」という書籍を読んだ。
今、耐震性の極端に低いマンションが提供され、多くの被害者が生まれている。
デベロッパー、設計事務所、構造計算事務所、建築確認審査機関、施工業者、誰が一番の犯人かという点は明確にする必要があろう。しかし、行政や司直が第一に考えるべきは、居住者の生命の安全の確保と経済的な支援の可能性の検討ではないだろうか。
一方、建設部門の技術士の一人である自分は、改めて技術者の倫理ということを考えてみた。
受験時は理屈を捏ね回し、簡単な話しを難しい理論で固めていた。これは、受験という性格上、仕方の無いことであった。しかし、技術者倫理は非常にシンプルなものだと思う。
ずばり言えば、「ウソをつかない」ことではないか。
姉歯が誰にどのようなことを言われて圧力と思ったかなんて、関係ない。姉歯は本当にあれでよかったと思っているのか?技術者ならば、例え構造計算業務を受注できなくても、きっぱりと偽造計算はできないと言えばいい。
技術者全体の信頼を損なう行為は、一人の技術者も支持し得ない。何とも悔しく、悲しい事件である。